ニッケイ新聞 2009年5月6日付け
サンパウロ市東部にある「飢えのない町」協会に対する日本政府草の根・人間の安全保障無償資金協力の供与式が去る四月二日に行なわれた。
同協会がスザノ市セッテ・クルゼス地区で運営する低所得者向けコミュニティー農園に対するもので、計九万二千レアルで耕運機、背負い草刈機と樹木粉砕機が整備された。
「飢えのない町」協会があるサンパウロ市東部地区は、人口密集地でありながら就職口が少なく、サンパウロ市の失業者約九十万人の約四〇%(約三十六万人)を抱える地区。低所得の仕事や、ゴミのリサイクル品集めに従事する住民もあり、貧困と治安の悪化が問題となっている。
同協会のコミュニティー農園活動は、住民が農業技術を習得し、生産物販売で増収を図ることを目的としたもの。ただゴミの不法投棄や不法占拠された空地を利用しているため、土壌整備のコストが課題となっていた。今回整備された機材によりコストの低減が期待されている。
同農園で実施された供与式には同協会のアジルソン・アルベス・ドス・サントス会長、大部一秋在聖総領事夫妻、関係者など約三十人が出席。
サントス会長は「コミュニティー農園は、雇用と収入につながる事業であり、比較的低コストで持続性のある職場になることができる。農業活動は様々な面で環境に協力することができる」と述べ、日本政府の協力に感謝を表わした。
大部総領事は今回整備された機材により、「土地作りのコストを削減し、行程を短縮させ、作物生産量の増加および増収を図り、同地区住民の貧困問題などが少しでも解消されることを期待する」とあいさつ。同協力が日伯関係の強化につながることへ期待を表わした。