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デカセギ子弟を考える=東京芸大教授らが出版

ニッケイ新聞 2009年5月7日付け

 【藤崎康夫=東京支社長】一九八〇年代後半、深刻な労働力不足に直面。外国人労働者導入で、窮地を切りぬけたもののアメリカ発の不況の波を受け、生産調整を理由に大規模な「派遣切り」が行われている日本である。
 その最初の対象者となったのが派遣外国人労働者である。一方的に解雇され、余儀なく帰国を選んだ家族もいるが、その子供たちには母国の学校がある。
 しかし、日本で新たな職場探しのため各地を転々しなければならない人々も多い。彼らを親に持つ子供たちは教育の場を失う、という深刻な問題に直面しなければならない。子供にとっては、教育はその将来を左右する。
 これまでも日本は、外国人労働者子弟の学校教育について、明白な方針が立てられてはいない。
 子供の将来を真剣に考えるとき、一時の余裕もないはずである。
 この様な日本の状況下で、二人の編者は、日本各地で出会った「外国にルーツを持つ子供たちへの教育実践」を集め、その経験と実績を共有しようという目的で本書を編纂した。
 外国人子弟の教育、各地域・各学校の取組レポート、日本語教育、人権、移民政策をキーワードとして、教育実践の方向性・枠組みを探る貴重な書である。