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人形浄瑠璃「平成座」公演=厚生ホームでも成功裡に=サントス

ニッケイ新聞 2009年5月8日付け

 【既報関連】先月末から初のブラジル公演のため来伯した阿波人形浄瑠璃平成座(藤本友幸座長)一行が、二日午後、サントス厚生ホームで上演した。
 演目は三日の県人会公演でも上演された「傾城阿波の鳴門~巡礼歌の段~」。一階の会場には上演を楽しみにしていた入居者や職員、近隣の住民など百二十人ほどが詰め掛け、道辻友十副座長の義太夫節が響く中、子供から大人まで熱心に人形の動きを追いかけていた。
 上演を観た西岡泰子さん(85、北海道)。「八十年ブラジルに住んでいて初めて観ました。人形に表情があるのが驚きました」。
 十年前からホームに入居している林敏さん(80、福島)は、「操り人形は観たことがあるけど、大掛かりなものは初めて。人情や親子愛、友情の話はブラジルではあまりみられないので良かった」と話していた。
 浄瑠璃の上演の後は、日本から持参したという折り鶴を厚生ホームにプレゼント。阿波踊りも披露され、ホーム入居者や子供たちも一緒になって踊り、また童謡「ふるさと」では大合唱となるなど、それぞれが午後のひと時を楽しんでいた。
 九四年から平成座で演じ、〇一年に四代目座長になった藤本友幸さん。「日本のことを懐かしんでいただこうと思った」と公演への思いをあらわし、「人形が無事(ブラジルに)着くかどうかや、皆の体調が心配だったけど、子供たちが写真を撮ったり、じいちゃん、ばぁちゃんが喜んでくれてよかった」と喜んだ様子で語った。