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静岡県=ポ語で学校ガイド発行=掛川市の支援グループ

ニッケイ新聞 2009年5月8日付け

 【静岡新聞】静岡県掛川市の外国人支援グループ「スマイル」が、子どもの教育で悩むブラジル人ら外国人向けに、日本の小学校生活のルールなどをポルトガル語と日本語でまとめたガイド本「学校生活のための準備と案内」を発行した。外国人の親へのアンケートを行い、「言葉の違い」や「情報が来ない」という切実な声に対応したのが特徴。外国人児童が通う市内の全小学校に配り、外国人の親たちを支える。
 昨年四月から活動を始めたグループの代表はブラジル出身で日系二世の西山ジュリアナ和子さん(42)=同市大坂=。中学二年の息子がいて「数年前に同じような苦労を経験した。外国人の保護者に日本の学校のルールを伝えたい」という思いが発行のきっかけ。発行のための経費は市からの予算だけでは足りず、外国人が経営する企業を回り本に載せる広告を集め、発行にこぎ着けた。
 ガイド本はA4判で全五十ページ。外国人にとって分かりづらい入学手続きや学校行事、教育委員会の役割などを、西山さんが市の提供した資料の中から要点をつかみ、分かりやすく翻訳した。レイアウトは日本で外国人向けの情報誌を発行していたペルー出身のロメロ・ジヨルジさん(49)=同市大坂=が手掛けた。
 市によると、四月一日現在、市内の二十三小学校のうち十七校に百九十六人の外国人児童が通う。世界的な不況の影響を受け、昨年度から経済的な理由で外国人学校から公立学校に編入する外国人児童が急増。言葉の問題などで勉強についていけず、不登校になる児童も多いという。
 西山さんは「外国人児童のために、学区を越えたPTAのような組織をつくりたい。もう一歩進んだサポートができればいい」と新たな目標を掲げ、外国人の不安解消を目指す。