ニッケイ新聞 2009年5月9日付け
テンポロン保健相は七日、ブラジルでは最初の豚インフル真性患者四人を確定と発表したことを八日付けエスタード紙が報じた。サンパウロ州に二人、リオ州とミナス州に各一人。リオ州の一人だけが入院中で、他三人は治癒し、他への感染はないと見ている。三人はメキシコ帰り、一人は米国。他の感染被疑者十五人は、判定結果が出るまで引き続き観察下にある。保健相は「豚インフルのウイルスがブラジル国内で伝染する可能性は、ほぼない」と表明した。これで同ウイルスの上陸を認めた国は、二十六カ国となった。
発表は六日に届いた検査セットを使って判定した結果に基づくもので、七日現在の感染被疑者と監察下の患者百八人のうち、十五人を残して、九十三人を放免した。また国内では、同A型ウイルスH1N1が伝染した形跡はないという報告を保健相が発表した。
真性患者の発生は確定されたが、空港や港、国境都市からの新たな患者入国に対する警戒体制は磐石であり、新たな警報の通告があっても、国内の警戒レベル変更は不要との見解を示した。
「悪性伝染病の発生で国内への伝染阻止は避けられないが、伝染してもそれを制御する態勢を整えておくことが重要だ」と保健相はいう。
また、市民の素人療法で無分別に予防薬を服用しないよう戒めた。真性の疑いが生じた時、正確な検査結果が出ないし適切な治療もできない。
同ウイルスの最初の感染者がメキシコから帰国した便は四月二十二日、サンパウロ市に到着。二十四日に被疑者が症状を訴え、入院した。二人目がミナス。両者は国内在住の家族も含めて観察下に置かれた。しかし、家族に伝染した様子はなかった。
H1N1の遺伝子系統や染色体の配列についての情報は事前に受けていたが、患者の判定は汎米保健機構(0PAS)から提供された検査セット到着を待って行われた。
真性と認められた四人の精密検査は、米国から送られた検査セットを使いPCR(ポリメラーゼ・リング)方式で行なった。検査セットが配布されたサンパウロ市とリオ市、ベレン市の三研究所では豚インフル・ウイルスの遺伝子染色体の配列と照合して真偽を確かめた。
検査物は、被疑者の鼻水から採取する。判定結果は二十四時間から七十二時間で出る。サンパウロ市のアドルフ・ルッツ研究所では、被疑者のウイルス・サンプル八個と観察下患者のもの七個を受け取った。現時点の同研究所には二百五十人分の検査キットが送られている。