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リオの壁問題は国連にも=ファヴェーラは囲むべし?=治安、環境対策というけれど

ニッケイ新聞 2009年5月9日付け

 リオ州政府が四〇〇〇万レアルを投じて建設を始めたファヴェーラを囲む壁問題が国連でも取り上げられ、人権特別局長が批判的見解を示したと八日付伯字紙が報じた。
 問題の壁は四月二日付伯字紙などに報じられたもので、大西洋西岸森林地帯の植生に隣接して広がるリオ市内一一のファヴェーラ沿いに、全長一四・六キロ、高さ三メートルの壁を築くという計画。四〇〇〇万レアルの予算は、壁の建設と立退き補償、ファヴェーラ住民用住宅建設などの費用とされ、報道時には既に建設が始まっていた。
 国内でもベルリンの壁などと対比され賛否両論が出ている壁問題。この問題が国際的にも関心を呼んでいた証拠は、六日に持たれた国連の経済・社会・文化的権利に関する委員会で出た質問で、詳細を知らぬパウロ・ヴァヌッシ人権特別局長は即答を避け、翌七日に説明を試みたという。
 開口一番、壁建設は連邦政府の計画ではなく、州政府の計画であると同局長は述べた。さらに、州政府による、組織的な犯罪拡大、ファヴェーラの森林地帯への拡張、地滑りによる災害拡大の三つを防ぐとの建設目的を提示。局長自身の見解では、自然保護の面では見るべきところはあるかもしれないが、ファヴェーラの周りに壁を建設すると言う構想そのものは望ましいものとは思わないとしている。
 一方、委員会での質問者のアウヴァロ・メジア氏は、「リオ市の壁は、ブラジルやラテンアメリカで起きている、社会的で根深い問題を象徴するもので、この問題を蔑ろにする事は出来ない」とまで発言している。
 高級住宅地近隣のものを含む、急速に拡張しているとはいえないファヴェーラまで囲む壁は、政治的な隔離政策(アパルトヘイト)との批判も出ているが、リオ州政府は壁の建設続行の姿勢を崩していない。
 人権特別局長の「貧困者は現実に存在し、彼らにも住まいを持つ権利がある」との発言に励まされたリオ市のファヴェーラ住民組織代表は、「誰が知事に共同体の声に耳を閉ざすように命じたのかは知らないが、今度こそ住民の声を聞く時だ」と気勢を揚げている。

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