ニッケイ新聞 2009年5月9日付け
政府与党PT(労働者党)と野党PSDB(民主社会党)は七日、中央銀行総裁や金融関係閣僚に金融機構の機能維持を託す白紙委任状にも相当する暫定令四四九号を承認と八日付けエスタード紙が報じた。
同暫定令には、金融機関の決済に違法的便宜を図ったとして、検察庁から金融法違反で告発された政府高官を無罪放免とする権限も与えられると付記されている。
さらに関係当局者は、「金融システムの維持と為替や資本市場の機能調整、流通量確保や決済能力を補助するため採った例外的措置が、預金者と投資家を守る目的であれば、それを罰せられることがない」とある。
同令十九条「犯罪的意図がなければ・・」は、ルーラ大統領の削除がなければ、イタリアへ逃亡したマルカ銀行元頭取カキオーラ容疑者の金融犯罪も看過されるところだった。猫に魚の管理をさせるような法令。それで同令を「カキオーラ補足令」と命名した。
PSOL(自由社会党)のイヴァン・ヴァレンテ下議のみが、泥棒合法化だとして反対した。金融混乱を理由に危機救済法を採択し、国庫の番人を排除すると訴えた。
カキオーラ容疑者は一九九九年、レアル通貨の切り下げ前夜に中銀からの情報漏洩によってインサイダー取引を行い、不正利益を取得した容疑で告訴された。
さらに同容疑者は、マルカ銀行救済のため中銀から十億レアルの公的資金投入を受けた。そのため当時の中銀総裁シッコ・ロッペス氏は、共犯者として裁かれた。
金融危機の非常時には金融当局者の敏速な対処が求められるが、平常化すれば同令は金融犯罪を看過する悪法になる。 カルドーゾ前大統領も同法の立案を試み、検事総長から諌められた。