ニッケイ新聞 2009年5月12日付け
保健省は十日、ブラジルの新型インフル真性患者が八人に、被疑者が二十二人に達したと発表したことを十一日付けエスタード紙やG1サイトが報じた。A型ウイルスH1N1が検出された真性患者の一人は母親、その子息がリオデジャネイロに住むメキシコ帰りの友人と入院前に接触。その時同ウイルスに感染し、母親へ伝染した。保健省はウイルスの感染可能な経路を、発症や症状がなくても観察しており、無防備な蔓延はないと発表。十一日正午のG1サイト記事によれば、世界での真性患者数は三十カ国で四千六百九十四人、死者は五十三人となった。
新型インフルは感染国を旅行しなかった者や旅行者と直接接触がなくても、二次感染により同ウイルスが伝染しつつあることが確認された。子息は原則として一次感染の真性患者と見なされないが、子息と母親の二人は豚インフル二次感染で最初のケースだ。
ブラジルは保健省の厳しい管理下にあるが、それでも二次感染五カ国の一つとなった。他はドイツやイタリア、スペイン、英国の四カ国。米国とメキシコだけが例外。
真性患者八人の内訳は、リオが三人、サンパウロ州が二人、ミナスとサンタカタリーナ、南リオ・グランデ各一人。
観察下の被疑者二十二人は、州別でサンパウロ州十人、首都とペルナンブッコが三人、リオが二人、パラナ、アラゴアス、セアラーとロンドニアが各一人となっている。
リオ国際空港は十日、マイアミからの飛行便で乗客二人を、新型インフルの被疑で隔離した。同便で到着した乗客百七十五人のうち九人は、同二人と同様メキシコのカンクーンから搭乗した。同機は同ウイルス汚染機であったが、汚染機は次々到着している。
世界保健機関(WHO)は、発生以来九日現在で真性患者数が倍増と発表。米国の二千二百人に続いて、火元のメキシコが千六百人。感染は三十カ国に及んだ。WHOは、感染増加が二次感染を原因とするものが多いと注意を促した。
WHOはブラジル政府へ、入院中の被疑者を見舞いに訪れた人を全員チェックし、ウイルスの飛び火が新たな媒介源とならないよう通告した。ブラジルは現在、感染者が親族内に留まっているので全国レベルに広がる前の早期に手を打つべきだと警告した。
ブラジルは国内の人的交流が激しいので、一度ウイルスが蔓延すると容易に広がる。だから空港などの水際作戦を強化するのが肝腎であるとWHOが進言した。