ニッケイ新聞 2009年5月12日付け
四月二十一日開始のフランス年行事は、文化企画四〇〇に商談四〇で、六〇〇社が大型商談の行方を見守っているが、政治、経済面から見た最大の商談は、〇八年十二月合意の軍事協定と十日付エスタード紙が報じた。
協定の最終調印は、独立記念日に予定されているサルコジ仏大統領を迎えての公式行事でとされているが、同紙によると、戦闘機購入についての最終決定が七~八月になされる以外、十二月の合意のままいくようだ。
十二月の合意は、ヘリコプター五〇機と、四隻のスコーピオン型潜水艦ならびに一隻のリュビ級原子力潜水艦購入、建造や運用に関する技術指導なども含んだものだ。
この合意は、それ以前の貨物船一二隻とP―3型海上偵察機八機、ミサイル三種の製造(総額五億六〇〇〇万ユーロ)を補強した形で、一連の合意はブラジルの防衛体制を方向付けるものになる。
同紙によれば、イタジュバのヘリブラスで製造出荷予定のヘリコプター五一機は、戦術輸送型のクーガーEC七二五型機。契約金額は約一八億九〇〇〇万ユーロで、ヘリブラス社では、現在の従業員二五〇人を一三年までに七五〇人増員して注文に応じることにしている。最初の納品は一二年の初頭の予定だ。
また、近海防衛に一二隻必要とされる潜水艦補強のためのスコーピオン型艦は排水量一七〇〇トン、全長六六メートル。
同型艦導入は、排水量二四〇〇トン、全長約七三メートルで、小型だが速力二〇ノット(時速三七キロ)の攻撃型リュビ級原子力潜水艦導入を見越したものだ。
南米最大の防衛力を持つブラジルがフランスからの潜水艦購入を進める理由は、フランスが技術指導を拒まないため。今回の合意により、ブラジル技術者が原子力潜水艦建造技術だけでなく、原子力利用のための多角的な技術を習得すれば、ブラジルの軍事防衛ならびに原子力利用は格段の進歩を遂げられると期待されている。
潜水艦建造はリオ州の新造船所で行われ、国内企業五〇%、フランス企業四九%、ブラジル海軍一%のジョイントベンチャー展開の予定。戦闘機購入も含め一二〇億ユーロの商談は、間違いなくフランス年最大となる筈だ。