ニッケイ新聞 2009年5月12日付け
農務省は九日、穀物市場で四月の農産物相場が急騰と発表したことを十日付けエスタード紙が報じた。民間コンサルタントの計算では、百二十億レアルが生産者の懐に転がり込むと見ている。
過去三十日間に大豆が一三%、綿が二二%、砂糖が一八%とそれぞれ値上がり。穀倉地帯は、次期播き付け準備に向けて沸きかえっている。養豚業者も、豚肉輸出の落ち込みを農産物で補えるとよろこんでいる。
昨年九月は金融危機の影響でコモディティ価格が暴落、今年の受取額に採算割れを心配していた。
それが思わぬ高騰で農産物価格は〇九年、千五百六十億レアルに達すると農務省は見ている。見込みでは、記録更新した〇八年の僅か三%減に留まる見込みだ。
コモディティ暴落の影響は、当初予想したほどではないようだ。将来に向けた生産者所得の流れが、変わった。予想価格は、まだ記録更新を続けるとコンサルタントは見ている。心配なのは、ドル通貨に対するレアル通貨の高騰だという。
経済専門家の間で、高騰が投機の結果だという見方がある。原因は米国の播き付けが遅れ、南米の収穫が二〇%減と予想されたため。それに原油がバレル当たり六十ドルへ僅かに盛り返し、米国でトウモロコシが高騰。
米国でトウモロコシの作付けが増え、大豆は減る。他に中国やインドのGDP(国内総生産)が思ったほど落ち込んでいないため、食糧需要は増えるという予測だ。これらの理由で農産物市場に、バブルが形成される懸念があるので警戒を要するという見方も。
別の見方は、米政府が危機救済のため公的資金の大判振る舞いを行い、ドルの暴落が予想されるので、資金が一斉にコモディティへ走ったというもの。コモディティの高騰は、需給法則も食糧分野の状況を反映したものでもないとしている。