ニッケイ新聞 2009年5月12日付け
【ロンドリーナ発】〇六年十月に死去した最後の笠戸丸移民、中川トミさん(享年百歳)の孫の板野マルコスさん(30)が去る三月二十八日にルシアーナ・ノゲイラ・メンデスさん(28)と結婚式を挙げた。披露宴はロンドリーナ市のシャカラ・グラシオーザ(吉井篤氏所有)で行われ、約三百人の招待客から祝福を受けた。
マルコスさんは中川トミさんの五女栄子さん(60)の長男で、ロンドリーナのパラナ総合大学を優秀な成績で卒業後、財務省の税務フィスカールとして活躍している。弟のフラビオさん(28)もブラジリアの連邦政府の官吏試験に合格し、現在ではブラジリアで勤務している。
父親の板野ロベルトさん(当時53歳)は〇二年八月、勤務先のパラナ州政庁(クリチーバ市)に向かう途中車の事故で死亡、同居していた中川トミさんは二人の孫と五女の栄子さんを励ましたという。
栄子さんの話によると「事故のとき、母トミのことを心配したが、かえって母から励ましを受けて息子達の教育に励むことが出来た。子供達は同居していた母をよく面倒みてくれていたので嬉しかった」という。栄子さんはロンドリーナのパラナ総合大学で免疫学の先生として教鞭を執っており、五月には八度目の訪日、千葉大学で共同研究を行うことになっている。(中川芳則通信員)