ニッケイ新聞 2009年5月12日付け
ブラジルの社会では他人同士の間でも会話がある。立場や階級に関係なくお互いを思いやれる雰囲気がある。
例えば、スーパーで転びそうになる私に「危なかったわね、ビデオには撮ってないから大丈夫よ」と冗談めかして心配してくれた買い物客。
メトロの中でイスに座り「荷物を持とうか」と声をかけてくれた老人がいた。このような一場面は私をどことなく嬉しくさせる。
先週のオーリャ欄で書いた、紙おむつをせがんだ少年に、友人も出くわしたという。やはり、紙おむつを買って欲しいと頼まれたそうだ。
いつも誰かがお金を与えることはできない。けれど、このような社会の中で彼にも優しく接しようとする人たちはいる。
そのことを私が感じたように彼も分かっていてくれ、それが少しでも彼が前向きに生きられる理由になればと思う。 (裕)