ノーベル賞3人が講演=「ブラジルが覇権国家」=まだ恐慌の5分の2ぐらい
ニッケイ新聞 2009年5月13日付け
ノーベル経済学賞受賞者の三人の米国人、エドワード・プレスコット氏とロバート・ムンデル氏、ジョセフ・スチグリッツ氏が十一日、エザーメ誌主催の国際フォーラムで一同に会し、金融危機後のグローバル・シナリオについて語り「ブラジルを二〇三〇年の世界覇権国家」に位置付けしたことを十二日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
プレスコット氏によれば「二〇二五年が中国の時代、続いて五年後の二〇三〇年はブラジルの時代という。そのためブラジルは、これまで培った安定した経済機構と投資を維持し、ハイテク製品を生産する先進国に接近するよう努めること」
ブラジル経済の基幹構造は、産業発展へ役立つ状態にある。ブラジルは国際経済の一員として機能している。しかし、先端技術の資本財を輸出するためのコネクションをつくる必要がある。その関連企業は、もっと自信をもつこと。
スチグリッツ氏は「ブラジルの状況は概ね良いが、高金利が珠にキズ。米国はゼロ金利で、これ以上どこへも逃げられないが、ブラジルは引き下げ余裕が十分ある」。ムンデル氏が「高金利が意味するのは、経済混乱を乗り切れる余裕があること」と結んだ。
その後デルフィン・ネット元財務相が「ブラジルは金融危機で、危機前よりも危機後に足腰が強くなる。二〇〇九年のGDP(国内総生産)予測は〇・五%と侘しいが、説明できる理由はない。国際金融が堰き止めた流通は、食わねど爪楊枝で凌いだ。座して死を待つよりは、多くが撃って出た。それがブラジルにとって良いと思ったからだ」と述べた。
ノーベル賞受賞者の三人は、今回の恐慌はまだ五分の二位しか来ていないという。今回の恐慌は金融システムの欠陥が引き起こしたもので、前回と違う。この経済混乱から立ち上がる処方は、工業生産への徹底減税だとしている。