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サンパウロ市証券取引所=競売廃止で電子取引=仲介業者が廃業の憂き目に

ニッケイ新聞 2009年5月14日付け

 サンパウロ市証券取引所(BM&F Bovespa)は十二日、魚河岸のような先物市場の競売取引を廃止し、電子取引に変換を決定と十三日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。これで株売買の仲介業者も不要となり、時代の変遷とはいえ六月三十日を以って同職業は廃業となる。
 金融危機の影響でシステムの改善は、時代の要求と自覚していた。現行システムの是非については、誰もが疑問を持っていた。最初は取引所で売買するが、取引が成立しないと場外取引となる。そうすると、システム管理の枠から外れる。
 ボベスパの仲介業者は現在、約二百二十人いる。一部はラップトップを使って取引所内で勤務継続。しかし、大部分は失職。それで今後、何をして食って行くか。取引所で長年働くと、過度のストレスで精神に異常を起こすらしい。
 再就職組の多くは、証券会社の下請けを探しているようだ。しかし、現実は厳しい。仲介業者組合はCUT(統一労組)の支援で電子取引の採用反対を訴える考えでいる。しかし、時代の波に逆らうのも大変だ。
 国外でも同様の問題が起きている。先進国の証券取引所は、労働法に順じて解雇するという。しかし、仲介業者は証券会社に頼まれて自由意志で株取引を行なっていたので、証券取引所や証券会社の職員でもない。
 仲介業者の平均所得は、三千レアル。他に過度のストレスや不快な騒音と喧騒の中で働くので、「早く老化する」と主張して二〇%の特別手当を依頼人に請求する。
 証券取引所は、仲介業者が「早く老化する」という考えに納得しないとして、裁判所に判断を委ねる方針だ。取引所を離職後、他へ就職を試みても、元仲介業者を誰も採用しない。他の仕事には使い物にならないのが定評で、取引所崩れと呼ばれるという。

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