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ポウパンサ=配当改定案を議会へ上程=5万R以上に課税か=更なる政策金利下げ睨み=1%が総額の41%を占める

ニッケイ新聞 2009年5月15日付け

 政府は十三日、ポウパンサ(貯蓄投資)の合計残高が五万レアル以上の場合に、二〇一〇年から所得税(IR)の課税対象とする法案を議会へ上程と十四日付けエスタード紙が報じた。五万レアル以下は従来通り。政府の試算によれば、五万レアル以上のポウパンサ貯蓄者はでは一%だが、貯蓄総額の四〇・八%を占める。ポウパンサ総額は二千七百七億レアル、課税対象は千百五億レアルとされる。これは政策金利が今まで以上に下がった場合に、大口投資家がポウパンサに参入し、庶民の夢を壊さないための予防措置だという。

 ポウパンサの配当改定案では、住宅を売却し新しい家を購入するまで、一時貯蓄した住宅売上金も課税対象になる。野党は、同案をコーロル政権方式と批判した。
 五万レアル以下の貯蓄者九九%に変化はなく、何らかの余禄がつく可能性もある。しかし、貯蓄の四〇%を占める一%の中産階級はどうなるのか。四〇%の貯蓄が、課税されることは大きい。
 課税額は、政策金利と貯蓄の配当率によって変動する。これは経済政策ではなく、政治的作為といえそうだ。マンテガ財務相は、庶民が伝統的な貯蓄習慣を失わないための措置と説明した。
 しかし、現実は大口投資家だけが税金を払うのではない。〇八年末現在で五万レアル以上、十万レアル以下の残高があった口座は、六十万八百九十四もあった。この中には、家を売って新しい家を探している貧しい人も含まれる。
 これまでポウパンサは、年六%保証の配当を受け取っていた。ところが、政策金利が一〇・二五%に下り、将来的にさらに下降することが予想されるため、今まで利子に税金のかかるファンドに投資していた大口投資家にとっては、六%で無税金のポウパンサの魅力がますます増える構図になってきた。
 そうなると政府国債の大口顧客だった投資家がポウパンサに流れる恐れがあり、なおかつ来年の選挙に絡んで庶民階級からは嫌われたくないので、五万レアル以上の預金者に限定して課税する方針を出したようだ。
 経済評論家のミング氏によれば、単純な貯蓄としてのポウパンサは、もう存在しない。ポウパンサは、通貨政策と国債発行、預金、為替の間で複雑に絡み合う相互間の調整役だ。
 ポウパンサは五十年の歴史を持つが、このような複雑な役目を負わされたのは初めて。五万レアル以上の貯蓄者は、税理士や投資顧問に相談してIRを織り込んだ投資戦略を練ることになる。
 もしも政策金利が六・一七%以下になったら、政府は新ポウパンサ配当改定案を上程するから、今回の改定は臨時措置に過ぎない。政府は政策の是非に自信がないので、市場の反応を見て決めると同氏は見ている。