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Enem大変革の09年=設問増え国立大学入試にも=公立高校は来年から義務化

ニッケイ新聞 2009年5月16日付け

 国家高等教育試験(Enem)変革を掲げてきた教育省が、年二回の実施、公立高校の受験義務化などを発表と十四、十五日付伯字紙が報じた。
 高等教育というと大学レベルの教育を想像するが、ブラジルのEnemは日本でいう高校(中等)教育の習熟度測定試験で、高校のレベル評価や大学入試の一部に使われたりしているものの、現時点での受験は希望者だけ。
 ところが、十月三、四日実施分以降は、少なくとも二一の国立大学の入試としての意味が加わる上、国立大学入試が年に複数回行われて来た様に少なくとも年二回実施と決定。一〇年初回は三月か四月に行うという。
 さらに一〇年からは公立高校で義務化し、受験しなければ卒業証書をもらえない事に。足切り点設定などの詳細は未定だが、教育省は、公、私立間で大きな開きがあるといわれてきた高校教育の改善も図りたい意向だ。
 そのため、制度面と共に内容も変更され、六三問だった設問数は二〇〇問に。小論文とで二日がかりの試験となる。
 また、特別会場で受験するという性格上、会場への交通費や宿泊費などの問題も発生。最後のEnemは一五六〇市で行われ、それ以外の市からはバスで送迎したりしていたが、会場増設も含めた対応が必要となる。
 試験の内容は従来のEnemや大学入試同様、ポルトガル語、数学、自然科学、人文科学の四分野で、理解力や応用力重視という方針を強化。毎年の難易度は一定にし、〇九年の結果を別の年の受験に適用する事も可能にするという。
 九日付フォーリャ紙によれば、Enemを入試として扱うか否かの国立大学の決定期限は五月二十日。サンパウロ連邦大学では、二六学部中一九学部がEnemの点で合否を決めるが、競争率が高く歴史もある医学部などは一次試験の合否判定に使い、二次試験は別に行う。専攻に関係する分野の点数を、より高く評価するなどの処置が取られる大学や学部が出て来る可能性もあるようだ。
 高校教育のレベル底上げや、低所得家庭子息が大学受験料や受験のために旅行したりする費用軽減なども念頭に置いた新Enem開始準備が、着々と進められている。

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