ニッケイ新聞 2009年5月16日付け
【既報関連】日本を訪問中のジルベルト・カサビサンパウロ市長は東京滞在二日目の十四日、麻生太郎首相を表敬訪問し、高速鉄道やモノレールなどのビジネス関係事案、在日ブラジル人問題などについて意見を交わした。同日には三井物産でも槍田松瑩取締役会長ら役員と懇談、また明治大学で講演を行なうなど多忙な日程をこなした。
首相官邸を訪れたカサビ市長は午前十一時から約二十五分間、麻生首相と懇談。ルイス・カストロ・ネーベス大使、飯星ワルテル伯日議連会長(連邦下議)、国際・交通関係の局長なども同席した。
日本側では佐藤悟外務省中南米局長が同席。外務省広報によれば、首相は昨年六月に日ブラジル会議員連盟会長として出席したサンパウロ市百周年式典での歓迎に謝意を表わした。これに対して市長は、ブラジルの国と国民をよく知る人物が首相に就任したことへの喜びを伝えた。
カサビ市長からリオとサンパウロ市、ビラコッポス空港を結ぶ高速鉄道計画、サンパウロ市のモノレール敷設計画を説明。首相は日本方式採用の意義を説明するとともに、サンパウロ市のような大都市では交通渋滞や大気汚染緩和のためにも鉄道網を整備することが重要と述べた。
不況下で仕事・生活の困難に直面する在日ブラジル人の問題についても話題に上り、市長は日本政府が支援に取組んでいることに謝意を表明。麻生首相からも政府の取り組みの姿勢が説明されたという。
市長は麻生首相を表敬後に明治大学を訪れ、サンパウロ市の概況や現在の経済危機に対する市の取り組みなどについて講演も行なった。
三井物産では槍田会長ら役員と懇談。サンパウロ市広報によれば、槍田会長は高速鉄道計画のほか、サンパウロ市チラデンテス急行へのモノレール方式導入プロジェクトにも興味を示した。これに応えて市長は、日本の交通システムを研究する作業グループを市交通局に設ける意向を示した。