ニッケイ新聞 2009年5月19日付け
連立与党執行部は十六日、ルーラ大統領の第三期政権への続投を問う国民投票を打診する連邦令補足案(PEC)を作成済みで上程懸案中であると十七日付けフォーリャ紙が報じた。同案が議会で承認されるなら、九月に国民投票が行われ、ルーラ大統領が二〇一〇年の大統領選へ立候補できるかどうかが問われることになるという。発案者はジャクソン・バレット下議(PMDB=民主運動党)で、同下議は上程に必要なPMDBとPT(労働者党)その他連立党、野党の下議百七十一人から同意署名を取り付けているという。
同案は三項からなる。一項は、大統領と州知事、市長の三期続投を可能とする。二項は、〇九年九月第二日曜日に国民投票の実施を公布し、国民の意向を質す。三項は、連邦令が第三選を禁じたものではなく、続投か否かは国民が判断するものだという。
同下議は四月、上程の意向であった。しかし、同月にロウセフ官房長官のリンパがんについての情報が公表され、微妙な時期の上程は無神経であるとして差し控えたと弁明した。
同下議は、同案上程の時期に迷っていたようだ。もし官房長官の立候補断念が決定的となれば、上程のチャンスと思った。上程は情勢の変化次第と判断して待機。
大統領の続投は党の公式意向ではないが、PTリーダーの間では考慮していた。同案が上程されれば直ちに、PMDB議員が大部分を占める憲政委員会と功労委員会へ回り合憲性を審議。
続いて下院本会議で二回表決が行なわれ、三分の二以上の賛成票を以って可決とする。上院でも同様の手続きを行なう。審議に要する時間は政府の要求案なら、スピード審議をされる。
議員は通常の場合、政治の必要性を感じて賛成票を投じるのは少なく、多くは協力の意味で投じる。しかし、ルーラ大統領の三期続投には支持者が意外に多い。PMDBは、政府をさらに利用することで三期続投に期待したようだ。
元ペロッタス市長のフェルナンド・モロニ下議は「ルーラ三選は、国民の声」だという。ルーラ大統領がロウセフ官房長官を次期大統領に推薦し、党が黙認したのは、大統領の顔を立てた深謀遠慮で国民投票によって認められれば本音が出てくるようだ。