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【出版】=『しのびよるシャーガス病』=慶大の竹内教授ら出版

ニッケイ新聞 2009年5月19日付け

 シャーガス病の詳細を記した『しのびよるシャーガス病―中南米の知られざる感染症』(慶應義塾大学出版会株式会社)が同大学医学部の竹内勤教授と三浦左千夫助教授により、三月に刊行された。全百十ページからなり、病気の説明や症状、実態調査などが掲載されている。
 シャーガス病は発熱、貧血、浮腫などの症状が見られ、吸血する昆虫サシガメの腸内に寄生する鞭毛虫が原因だという。三~四割程度が有症化し、循環器の疾患、消化器系の疾患へと発展するという。
 日本移民においては、サンパウロ州マリリアで六十年前に母子の感染例が報告された。以後、ある日系移住地での調査によると、二割の人たちが陽性反応を示し、いずれの人も感染している実感は全くないという。中南米で感染リスクが最も高いのはボリビアにおける移住地という。
 同書ではブラジル、ボリビアにおけるシャーガス病の実態調査と地域社会的背景調査の結果などを掲載し、検査の有用性や今後の課題などを述べている。