ニッケイ新聞 2009年5月20日付け
パラグアイの邦字紙「日系ジャーナル」四月号は、ルーゴ大統領の隠し子騒動をトップで伝えている。「三人目登場も未だ序の口か?」などと扇情的な見出しが目を引く▼中でも、ビビアナさんの話は具体的に報道。ルーゴ氏は司教時代、彼女の住んでいた家に寝泊りしており、告訴状には「ベットのシーツを持って行った時に全てが始まった」という彼女の衝撃的な証言も。「他に必要なものはありますか?」と司教に尋ねたところ、「『あなたが必要だ』と言われ、若かったことや経験のなさから彼の甘い言葉の誘惑にはまった」とか▼同紙はなかなか辛らつだ。「特に田舎等では〃パイ・コフード〃(種付け坊さん)と云う呼び方があるが、ルーゴさんもさっそく〃国家の種畜〃とか〃全パラグアイ人のパパ〃等と内外のマスコミに囃され」と揶揄する▼思い起こせば、ルーゴ氏は昨年四月二十日に、左派連立政党「改革のための愛国同盟APC」から華々しく立候補、第五十代大統領に見事当選し、「司教から大統領へ」と日本を含めた世界中のメディアから注目されたのは記憶に新しい▼そういえばミッテラン仏大統領にも公認の愛人、隠し子がいたのは有名な話。元レジスタンス戦士であり、左派連合から出馬して当選したあたり、少々似た経歴か。ルーゴ氏の支持率が六五%から四五%に急落しているとはいえ、麻生首相の三〇%(四月)より上▼もし、日本で首相に当選してから三人も隠し子が発覚したら、マスコミはどんな反応を示すのだろう。「少子化対策特命大臣に任命したら」などと冗談にしたら、真面目な有権者から怒られそうだ。 (深)