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年金基金・BNDES=BRF新株44%取得で大株主に=国内の寡占化に批判=国際競争で合併は必然=企業生残りのジレンマ

ニッケイ新聞 2009年5月21日付け

 ペルジゴン食品の大株主である遺族年金基金は社会開発銀行(BNDES)の協力を得て十九日、ペルジゴンとサジアが合併して誕生したブラジル・フーズ(BRF)が発行する新株の四四%を引き受ける意向と二十日付けエスタード紙が報じた。新株四十億レアルは七月に発売見込み。同基金は現在の株保有率二六%を三五%に引き上げ、BNDESも十五億レアルを投じて九%の保有率確保を望んでいる。経済評論家のミング氏は今後、食品業界のカルテル化と市場の独占化が同時進行すると述べた。

 年金基金が三五%、社会開発銀行が九%でBRF新株の四四%を保有することになり、これで両株主は他の株主に打診する必要もなく、BRFの経営に大きく参画できることなる。
 BRF発足時の資本構成は、ペルジゴン六八%とサジア三二%。サジア傘下には輸出銀行もあったが、BRFには合流せず別会社となる。BRFは二〇一〇年まで、重役陣遺留のまま二人三脚で経営される。
 完全合併による共営システムは、専門企業に創案作成を依頼する。BRFは発足時、既に百億レアルの負債がある。これを新株四十億レアルと年間売上三百億レアルで、一気に補完する考えだ。
 一方、企業の寡占化と市場独占化を社会はどう見るのかについてミング氏は次のように分析する。気になるのは、企業の競争原理が霧消化すること。企業の大型合併は、国際競争力の強化であり、政府の望むところ。だが消費者にはカルテル(競争排除の価格協定)化だ。
 それが庶民の胃袋につながる食品で行なわれた。両社は冷凍食品の九五%、ハムの六〇%以上を握る。両社のお膝元であるサンタカタリーナ州では市場独占が完了し、消費者にとって選択肢はなくなったも同然だ。
 ブラジル国内では、市場寡占化の歴史はまだまだ未熟。しかし、企業合併が今後加速すれば、需給の法則は衰退し、消費市場は歪曲化する恐れがある。
 一方で、現在の企業経営は、国内市場だけを対象とするなら困難だ。輸出を想定した場合、重税や高金利、為替政策不在のため企業合併による体質強化は時勢の必然であり、経営高度化即合併が今後の傾向のようだ。
 企業の生残りのため、国内外での市場確保、計画生産、経営の統合化、広報の一本化、ロジスチックの専門化、先端技術革新、資産の有効活用、運転資金の予算管理は急務だとミング氏はいう。その答の一つがペルジゴンとサジアの合併といえそうだ。