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IPEA報告=不況下で底辺層減少=35%の庶民は所得保護下に

ニッケイ新聞 2009年5月21日付け

 応用経済研究所(IPEA)は十九日、世界不況で覆われた過去六カ月に、ブラジルの貧困者数が減少と発表したことを二十日付けエスタード紙が報じた。これまでの経済不況下では常に貧困層が激増したのに、これまでにない現象とした。
 IPEAはブラジル地理統計院(IBGE)の資料をベースに、〇八年十月から〇九年三月までの間に、国内主要都市近郊に住む三十一万六千人が、家族一人当たりの所得が二分の一最低賃金以下の貧困層から浮上と報告した。
 その期間に政府が公共工事に特別予算を投じ、国際金融による流通量封鎖と民間銀行が資金引き上げを行なう一方で、公立銀行が中小企業向け融資に努力したことが効を奏したとIPEAでは分析している。
 不況下の貧困減少は、ブラジルの歴史で初めてだ。外債に悩まされた一九八二年から八三年、貧困者は六百七十万人増えた。ハイパーインフレとコーロル・プランで三百九十万人が貧困化。レアル通貨が暴落した一九九八年から一九九九年、百九十万人が転落。
 ブラジルは一九八〇年、貧困脱出のため公共工事で不況脱出を試みるケインズ経済学を導入。しかし、不況緩和に失敗し産業の停滞を招いた。金利上昇に公共工事を中止、投資は減退、最低賃金は足踏み状態。
 ブラジルでは現在、労働市場に関係なく庶民の三五%が所得を保証されている。保証の内容は、社会保障院の諸手当てと生活扶助金。金融危機で企業経営が疲弊していたときも、最低賃金は確実に調整され、消費市場は一定水準を保った。
 ブラジルのこれまでの歴史では、政府経済が破綻すると国際通貨基金(IMF)や世銀(IBRD)に泣きつき、黙ってバンドの締め直しをさせられた。金は貸してもらえたが、山ほどの条件がついた。そして間接税で縛られ、犠牲となったのは貧困層であった。
 予算管理相は、政府が増税をしなくても経済政策が波に乗っているという。金融危機のツケを貧困層に払わせなくても、経済破綻に至るような懸念はないと言明した。

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