ニッケイ新聞 2009年5月22日付け
「現代人は崖っぷち。ここから遠ざかる方法を今日は教えます」――。栄養学や予防医学の面から独自の理論を展開し日本で話題になり、数多くの著書を出版している山田豊文・杏林予防医学研究所所長(60、京都)が来伯し、講演会「食べないことで脳や細胞が若返る」(自然食品会社アニュー・グループ主催=加藤滋取締役)を十九日午後一時からサンパウロ市ニッケイ・パラセホテルで開催した。東京本社の橋本幸雄会長も来伯し、同社製品の愛好者、医者や研究者など四百人以上が駆けつけ、一時間半にわたる山田氏の明快な話に熱心に耳を傾けた。
「自然にもどる、これがキーワード」。山田氏は、今の日本で「二千万人が糖尿病」「癌で亡くなる人が増加」「一年に三万人が自殺する状況が十年以上も続いている」「うつ病やアトピー患者が多い」と列挙し、「本物の日本人だと思わない。戦後、本当に何を食べるのかを忘れてしまった」と話し始めた。
人間だけが行う不自然な行為として、「牛乳を飲む。食物精製、加熱調理、化学肥料も含む薬を使用する」などをあげ、分子栄養学の面からそれらを批判した。
「骨の健康は一番大事」と話す山田氏。牛乳には豊富なカルシウムが含まれ、戦後から人々に飲まれてきたが、カルシウム過多によるカルシウム生理作用不全症候群という弊害が起こり、骨粗しょう症、心臓・ホルモン・神経系の病気、癌などあらゆる病気の原因になると話す。
また、「砂糖や電磁波も骨に悪いが、牛乳に含まれる動物性たんぱく質が一番骨を弱くする」と補足。「子牛は成長すると乳を飲まないのに人間が飲むのは不自然。乳製品は嗜好程度に抑えて」と勧めた。
白米や白砂糖、塩などの精製食品についても、「五十近くのミネラル類を含むのはたった二%の外皮部分。精製したものは命のエッセンスを失っている」と山田氏。
続いて、「細胞から元気になるためには、油が大変重要」。細胞膜を構成し血液の調整など大事な役割を担っているが、間違った油を摂ると病気の原因になるという。
例としてマーガリンやクッキー、チョコなどに使われているトランス脂肪酸を挙げ、韓国の給食では使用が制限されているが日本ではまだ使っていることなどを紹介した。
「摂ってよいのはオリーブ油と亜麻仁油。妊婦は特に、亜麻仁油を毎日大さじ一か二杯飲むといい」と紹介し、「細胞を酸化させないために、抗酸化物質を多く含む野菜と一緒に摂取すると良い」とアドバイスした。
また山田氏は、酵素の重要性を強調すると同時に、「解毒ほど大事なことはない。身体に入れるより出すことを考えて」。
人間の腸内を石炭ストーブに例えて、「薪を入れすぎるより減らしたほうがよく燃える。煤や油の汚れを掃除したほうがよく燃えるのと一緒。節食や断食を取り入れ、身体を休息させるべき」と強調した。
「みなさん食べ過ぎです」と笑いを誘い、「食べると胃に血がまわって頭が悪くなるから今日は何も食べてません」。
続いて、「自然に戻ることを念頭におき、これを全部できる人は絶対に成功できる」と七つの方法を紹介。
その一つ「正しい食事を摂る」は、「マグネシウムとカルシウムが一緒に摂れる玄米、大豆、小魚、海藻」を勧め、「食事の四分の三は、酵素が多く含まれる生食品や乳製品を除く発酵食品」などとアドバイスした。
最後に断食の方法として、無理をしないことを前提に、アニュー社の天然酵母フローラニューを使った特製ジュースを一日四杯飲んで行うファスティング(節食療法)を紹介。
断食して身体をリセットすることで、体内の毒素を排出しエネルギーの循環をよくすれば、「脳は活性化し人生が変わる」と再度強調して講演会を締めくくり、会場からは大きな拍手がおくられた。