ニッケイ新聞 2009年5月23日付け
国内第二の資源大手のヴァーレ(Vale)は二十一日、二〇〇九年度事業計画を見直し、昨年十月に発表した百四十二億三千五百万ドルの投資を三七%も縮小、九十億三千五百万ドルに引き下げる意向と二十二日付けエスタード紙が報じた。事業縮小に至った理由は三つ。レアル通貨の高騰とコスト削減、事業計画の延期。また同社は第1四半期の決算書から、原料や資材の値下がりで生産原価の低下に至ったため工程の全面的見直しを行なうという。特に経費削減を迫られているのが、カラジャスとセーラ・スールの鉄鉱石鉱山だ。
国際経済の混乱は、ヴァーレの主力製品鉄鉱石を需要減退に追い込んだ。同社経営審議会は二十一日、全ての部門で向こう四年間の増産計画を見直す声明を発表。
第1四半期の決算発表とともに、金融危機によって引き起こされた混乱に合わせた体制つくりに取り組む。昨年十月時点では、まだ国際的な恐慌の様子はなかった。
しかし、その後の雲行きが深刻化した。同社は千三百人の従業員解雇や集団休暇、一部事業所の閉鎖などで手を打った。それまで順調に設備投資が行なわれたため、経費が割高であったので贅肉をそぎ落とした。
需要が減退したため、先行投資は不要となった。特に七十九億ドルを投じたオンサ・ピューマやゴロ、トテンなどのニッケル鉱山は〇九年、十三億八千百万ドルの投資を計画していた。それも市場の回復次第ということになった。
事業を最も縮小したのは鉄鉱石部門で、投資額も、四十五億五千四百万ドルから二十八億五千三百万ドルに大幅に減額した。セーラ・スールだけで、六億七千五百万ドルの計画を二億三千三百万ドルに縮小している。
カラジャスでの鉄鉱石採掘を一億三千万トンへ拡張する計画も、設備投資予定額七億九千八百万ドルを四億五百五十万ドルに削減した。新しい採掘場の稼動開始とロジスチック拡張は、二〇一一年になりそうだ。
中央銀行のメイレーレス総裁は、為替事情がドル安傾向にあることで輸出企業に過剰反応することを諌めた。昨年ドル高であったとき、ドル高騰に賭け、流れが急変して奈落の底に落ちた企業がある。為替は予測不可な動きをするものという。