ニッケイ新聞 2009年5月23日付け
サウジアラビアの対伯商工会議所のサリム・シャヒン会頭は二十一日、アラブ諸国が原油で得た資金でブラジルに農地を購入し、アラブ諸国の食糧安保を期したい意向と二十二日付けエスタード紙が報じた。
ルーラ大統領は十七日、同国を元首として初訪問を行なった。大統領の招きに応じ、同国の政治家や投資家などの経済使節団一行が、畜産を目的とする現地視察で近日中に来伯予定だ。
一足先に来伯したリビアは、既に農地を確保し目下交渉中。ブラジルを戦略的生産用農地の保有国の一つと位置付けしている同国は、ラ米全体への投資に五億ドルを用意しているという。
農地購入は、一行の主要目的の一つだ。同国は往年の原油高で膨大な外貨を蓄えたが、食糧難では常に慢性的問題を抱えている。アラブ諸国は年初、農地購入基金の設立を決定した。
これまでの計画では農地購入の候補地に、スーダンやウクライナ、パキスタン、タイなどが上がった。耕作可能な農地の購入には、ビン・ラデン氏も乗り気だ。
アラブ諸国で目下、話題に挙がっているのがインドネシアの米作地五十万ヘクタール。パキスタンでは百万ヘクタールの購入を予定している。
一方、五百万人以上が飢えているエチオピアのために、アラブ諸国は一億ドル以上を投じて米と小麦の栽培を始めた。これは国連がアフリカ諸国の貧困者への食料支援に投じる年額と同じ額だ。
ジュネーブの食糧国際研究所(Ifpri)は先週、外国人への土地売却合意は、低開発国を中心に二千万ヘクタール、金額にして三百億ドルに及んでいるだろうとの調査結果を発表している。