ニッケイ新聞 2009年5月23日付け
コチア青年として一九五八年にブラジルに移住し、現在は首都ブラジリアで弁護士として活動している今井眞治さん(75、埼玉)が今年一月、自分史「遥かなる道のりを辿りて」を出版した。
日本で会社員として働きながら夜間大学で法学を勉強していた今井さんは、母の死をきっかけに二十三歳でコチア青年として移住。カンピーナス市郊外にある農場でトマト作りに従事した。
その後も運転手や行商など様々な商売に従事したが、当時経営していたバールで出会った客から大学に行くように勧められ、勉学の道へ。
移住十四年目の七三年、三十八歳で苦学の末、連邦大学法学部の夜間部に合格。五年後の七八年に弁護士試験に合格した。合格者は八十人中三人という狭き門だったという。
同年からブラジリアの日本大使館顧問弁護士として活躍し、八二年にはブラジリアで初の日本語公証翻訳人の資格を取得。九五年、日本政府による「外国人サービス業の受け入れ」を背景に、南米で初めて日本における外国法弁護士の許可を得た。
同年、ブラジリア連邦区から国際協力への貢献によりドンペドロ二世勲章を受章。〇四年には日本政府春の叙勲により「旭日双光章」を受章した。
現在は妻と子、孫らと一緒にブラジリアで暮らす今井さん。自身の人生を綴った同著の最後に、「わが夢は終わらざるごとく、こころざし、また、終わらざるべし」と記している。
同書は非売品。希望の人は今井さん(電話=61・3568・0740)まで連絡を。