ニッケイ新聞 2009年5月27日付け
北部国境からの中国人密入国者増加を受け、連邦警察が二十二日にダ・シャン作戦を実行、ロライマ州とサンパウロ州で幇助者十四人を逮捕したと、二十三日付伯字紙が報じた。
ダ・シャン作戦は、〇八年にロライマ州ポルト・ヴェーリョからサンパウロ市行きの飛行機に乗り込もうとした不法入国の中国人三人が逮捕され、北部国境からの密入国者増加傾向が確認された事から計画されたもの。
大きな山という意味の〃ダ・シャン〃は、密入国者が最も多い中国福建省を暗示。山中に作られた海賊版(不法コピー)製造工場もある同省は、海賊版商品製造で世界的に知られた所でもある。
中国からオランダ、エクアドル、ペルー、ボリビアを経てロライマ州に入ってきた密入国者は、〇八年末からだけで三〇人検挙されている。本国よりましと誘われた密入国者は、住処と食べ物を代償にサンパウロ市の違法な縫製工場などに送られ、安い賃金で働かされている。
二十二日の作戦で逮捕されたのは、サンパウロ市二人、ロライマ州一二人。ロライマではポルト・ヴェーリョとグアルジャー・ミリンに捜査の手が伸びた他、アクレ州ブラジレイアも密入国者が入ってくる場所の一つらしい。
国境を越えた中国人らは、入国や移動の手助けをするコイオッテと呼ばれるメンバーの指示を受け、バスやタクシーで目的地へ移動。コイオッテを指図し、密入国用書類偽造などを用意していたのは、サンパウロ市に居たズー・ミン・ウェン(通称トミイ)と、その片腕、通称ルイス(エスタード紙は中国人、フォーリャ紙はブラジル人と報道)だ。
トミイ容疑者は、一二万四〇〇〇レアルと五〇〇〇ドルの現金の他、連警が発行した不法滞在者二人宛ての国外退去命令の書類も所持。連警では、同容疑者が不法滞在者らの出入国の鍵を握っていた証拠としている。
また、サンパウロ市セントロの二つのビルに住む中国人ら約九〇人は、合法的な滞在か否かを確認するため、バスで連警に連行されて取調べを受けたが、大半は間もなく解放される一方、不正書類所持者で密輸にも関係していた男性が最低一人、強制送還となる見込みだ。捜査の手を逃れた組織メンバー二人は国外逃亡中だともいう。