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ブラジル=輸出入銀行を設立=関係業務の一本化=遅ればせながら体制構築=10年遅れて先進国並みへ

ニッケイ新聞 2009年5月28日付け

 ジョルジェ・ミゲル産業開発相は二十六日、輸出入銀行の年内設立を表明と二十七日付けエスタード紙が報じた。ブラジル製品を国外向けに出荷するため、敏速かつ流動的な輸出業務の機構づくりが必要不可欠と実感。米国で一九三四年、設立され、日本や中国へも導入されたEximbankをモデルとする。同行は、社会開発銀行(BNDES)の片腕として発足。同行の設立で、輸出金融の資金手当てやリスク管理、実施の保証管理業務が一本化される。

 ブラジル輸出入銀行を設立し、輸出向けの生産を奨励、輸出金融の手配など諸管理業務を流れ作業で敏速に行なう。同提案は、ルーラ大統領のお墨付きだ。
 現行の輸出システムは、先ず伯銀へ赴き、輸出金融(Proex)の取り付けを要請する。次に輸出委員会(Cofig)へ出頭し、輸出保険をかける。この二つは手続きが複雑で、輸出業者泣かせであった。
 輸出入銀行の特徴は、これまで、伯銀やBNDES、国庫、関係省庁毎にバラバラで無駄が多い上、縄張り争いで悩まされた輸出入管理業務の一本化にある。資本金は、Proexの二十六億レアルとBNDES資金。
 日本や中国、インドには同モデルの銀行は早くからあり、ブラジルでも前政権時代、設立の話はあったが計画倒れで終わった。それは各省庁から提案されたが、動機に協調性がなく政治的決断に至らなかった。
 ブラジルの取組みは、十年遅れている。輸出入銀行の必要性は、金融危機で再認識された。金融危機がなければ、まだ眠りこけていた。
 一輸出業者が、輸出入銀行の輸出金融を利用して日本へ製品を輸出しようとする。同行は輸出代金の不払いリスクがなければ、融資をする。その場合、同行は日本における投資に、融資するのではない。ブラジル製品を輸入する日本企業に、輸入資金を融資するのだ。
 ブラジルの今年度輸出は、前年度比で二〇%減の千六百億ドルとなる見込みだ。思ったほど落ち込まないのは、幸いコモディティの値上がりがあったからだ。
 貿易黒字が危ぶまれた年初の四カ月、第一次産品の輸出が百七十二億四千万ドルで記録更新をした。前年度比八・七%増であった。一方、加工品と半加工品は二八・七%減と二一・五%減と落ち込んでいる。激減したのは、米国向け輸出の三四・五%減であった。