ニッケイ新聞 2009年5月28日付け
国連報告書は二十五日、ルーラ大統領が政権獲得以来取った貧困対策は不十分で、社会格差是正や農地解放、低所得者の住宅不足、年齢に見合う教育の機会喪失、奴隷労働などの解消に至っていないとしたことを二十六日付けジアリオ・デ・コメルシオ紙が報じた。
生活扶助金制度は、先住民も含む、本当に貧しい社会的無力な階層には届いていない。生活扶助制度は、極貧層にあまねく行き渡り、犯罪へ走るのを阻止し、最低生活を保障するものでなければならないという。
ブラジル政府の貧困撲滅努力は認めるが、社会的格差是正などへの一層の努力を求めたものだ。人種や地域差、性差による不平等、アングラ経済と労働法の恩典がない労働者の多さ、治安担当公務員まで加担するミリシアの存在、人権擁護への取組みの弱さなども指摘され、労働運動指導者の安全確保への法案作成も必要だとしている。
報告は、暴力の日常化や政治家の不罰特権が社会の病根になっているとの言葉で結ばれている。