無資格の教師も教壇に?=中卒だが高校で教える例も=教科や課程、地域で差あり
ニッケイ新聞 2009年5月29日付け
教育省調査によると、給与が安く複数の学校掛け持ちという教師像は変わってきたが、高等教育まで受けた教師の率はまだ低いことが判明と二十八日付伯字紙が報じた。
先進国の教師は大学かそれに準ずる高等教育機関卒業が普通だが、ブラジルでは、幼稚園~四年生の教師は高校卒でもなれるなど、高等教育機関卒業は必須条件ではない。
ところが、私立校教師三一万弱を含む全国の一八八万余りの教師中一万五九八二人は、八年生までの初等教育を受けた中学卒レベル。大半は四年生までの担当だが、四四一人は高校(中等教育)で教えているともいう。
もちろん、初等教育課程にも高等教育を受けた教師が七〇%おり、内九〇%は教員免許も持っているなど、全体での高等教育機関卒業者も六八・四%いる。しかし、五~八年生のクラスで、教員免許のない教師は高校卒二一・三%を含む二六・六%などの数字には、教壇に立つ教師の苦悩と、授業を受ける生徒の学力伸張への不安も表れる。
高等教育や教員免許の有無=教師の資質の高さではないが、教師不足が深刻な物理では、神学課程卒業者や図書館司書が教える例がある他、二十七日付アゴーラ紙には、教師不足の新設校で、数学の授業が一度も行われてないという例もある。
従来、教師不足の原因は、〇七年の平均給与が看護士二〇二二レアル、医師四八六五レアルに対し、大学卒高校教師は一三三五レアル、複数の学校での授業掛け持ちなどの悪条件が指摘されてきた。
この点に関しては、〇七年には八〇・九%の教師が一校のみで勤務、三校以上で勤務は三・二%と改善されているが、サンパウロ州教員組合担当者は、サンパウロ州ではこの程度の数字ではないはずだともいう。
今回の調査結果について、教育相は、ブラジル教師の学業レベルは問題だとし、各教師の評価再考、教員候補者に高校生が受ける統一テスト(Enem)を義務付けるなど、幾つかの対策に言及。
パラー、セアラ、ロライマ各州は大学卒教師がおらず、八年終了の教師も一二%など、地域、課程差も大きいため、国と自治体が一体となっての教師の質と教育レベル向上、教師養成課程改善などの必要がありそうだ。