為替政策=中銀俎上に上がる=財務省との確執が表面化
ニッケイ新聞 2009年5月29日付け
二人三脚と思われたマンテガ財務相とメイレーレス中央銀行総裁は二十七日、為替政策で不協和音を奏で、両者の確執が表面化と二十八日付けフォーリャ紙が報じた。
中銀総裁は最近、為替政策について語調を強めた。同総裁は二十七日、下院で「高金利政策がドル通貨の流入を招いたのではないし、それがレアル高につながったのではない」と強調した。
ドルが下落するのは衰退期の米経済と世界的な傾向で、強いレアルのためではない。ブラジル経済は国際的不況の中、他国と比較してよく奮闘している。だから投資資金を呼び込んだのは、高金利のエサではない。ブラジルの実力だという。
この中銀総裁の論調に、財務相が上院で異を唱え独自の見解を述べた。政策金利の低減は急務であり、中銀はそれに積極的に取り組むべきだとした。外貨政策についても積極性を求めた。
特に通貨政策で両者は、意見を異にした。財務相は、政策金利の引き下げ率が少なすぎると不満を洩らした。インフレは十分抑制され、それにドルの下落が後押ししている。目標の四・五%を下回る気配さえある。
ブラジルはドル安の今、外貨準備に精を出すチャンスだ。中銀の抵抗はあったが、〇六年以降の外貨準備高が四百億ドルから二千億ドルに増えたことが、ブラジルが現在の不況に耐えられている理由の一つだと財務相は見ている。
一方、同日付けエスタード紙によると、BNDES(社会開発銀行)のコウチニョ総裁も二十七日、ドル流入を阻止することなくレアル高を防ぐことが国際競争力を保つために大切だと上院公聴会で述べたが、レアル高防止のための金融操作は中銀の役割とし、具体的方策は示さなかった。
レアル通貨は国外の投資家に過大評価されている。それは株式公開システムの一現象だが、金融危機により市場システムが歪曲され、模範企業まで窮地に陥った。国内市場回復でGDP四%は保てるだろうが、輸出に頼る企業の回復は遅れる。不均衡貿易は国際的問題だ、と同総裁はいう。