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伯亜貿易=亜国市場撤退のブラジル=中国進出でメルコに異変

ニッケイ新聞 2009年5月30日付け

 伯亜商工会議所は二十八日、金融危機の影響で伯亜貿易が第1四半期、激減したのに中国が市場シェアを伸ばしブラジルの縄張りを占拠と発表したことを二十九日付けフォーリャ紙が報じた。メルコスルへ圏外からの輸入が増え、主役交代が起きているようだ。
 亜政府が国内産業の保護と雇用創出の目的で輸入削減に力を入れ始めたことに、ブラジルの産業界は不満を抱いている。ブラジルからの対亜輸出が四五・七%減、中国は二五・一%減、平均で三九%の輸入削減。
 しかし、中国の対亜輸出は八分野から二十一分野に広がった。そのうち八分野(パルプと薬品、靴、写真・光学、医療機器、楽器、玩具、服飾品)は、ブラジルの縄張りであった。その間ブラジルは二分野を広げただけにすぎない。
 中国は二〇〇四年以来、対亜輸出を着実に伸ばしブラジルは駆逐された。十三分野で伯中両国とも対亜輸出を削減されたが、八分野では、ブラジルの被害が甚大。
 二〇〇八年第1四半期で繊維と衣料のブラジル輸出は、中国よりも四〇%優勢であった。それが〇九年は逆転し、中国がブラジルよりも二〇%優った。亜国がメルコスルの一員でありながら中国に輸入先を替えたことは、外交問題に発展する可能性がある。
 ブラジルの繊維製品百三十一品目全体の一四%は、自動通関制度から外され、亜政府の裁量下にある。そのため通関に法外な時間がかかり業務に支障を来たす。その点は中国も反ダンピングなどで足止めをされるが、難関を上手に潜りぬけてシェアを増やしている。
 ブラジル製玩具の輸入許可書は、亜税関で棚に放置されているなど、亜政府はあの手この手で、ブラジル製品の輸入に圧力をかけている。ブラジル製靴輸入は二〇〇九年、二百二十万足に対しアジア製靴は二百六十万足に増えた。
 ブラジルが対亜輸出の自主制限を一〇%としたのに対し、亜政府は二〇%を要求。ブラジルの対亜輸出は〇八年四月まで一〇・一%であったのが、〇九年は七・〇%に減った。一方、対中輸出は一二・九%に増え、対米輸出の一一・二%を凌駕した。

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