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さとうきび=砂糖好転で苦境は9月までか=地平線に明るさが=温暖化の旗手受難の時代=米前大統領、サミットで激励

ニッケイ新聞 2009年6月3日付け

 さとうきび精製協会(Unica)のマルコス・ジャンク会長は六月一日、サトウキビの収穫初期に金融危機の黒雲に覆われ業界は意気消沈としていたが、ようやく供給を上回る砂糖需要が起こったため晴れ間が見えたと安堵したことを二日付けフォーリャ紙が報じた。アルコールは八月から九月にかけて市場が回復する見込みで、融資の道も開け、国外の注文も入り始めた。アルコール業界は、精製業者が経営不振でまだ窮地にあるが、地平線の彼方が明るくなったので活気が蘇った。

 これは一日からサンパウロ市で始まったエタノール・サミットの出席者が、一様に感じた。それでも債務で身動きが出来ない業者と窮地脱出の目処がたった業者の二種があると、ロドリゲス前農相が見ている。
 まず砂糖の需要増で、市場が好転した。しかし、アルコール価格はまだ採算ベースに乗っていない。アルコール相場は下落し、その上ローンが出ない。業者は運転資金を工面するため赤字と知りつつ売る。さらに相場を下げ、悪循環を続ける。そのしわ寄せは、さとうきび生産者に及ぶ。
 いまはアルコール業界には試練の時であるが、「八・九月に情勢が変化し、二〇一〇年は我が世の春が来る」と前農相は予測する。二〇一〇年は原油市場に異変が起きる。いわばアルコール業界は二日酔いの状態にある。
 砂糖はいま、国際市場で七百八十万トン不足しているので活発に動いている。次期収穫期を迎えても、まだ四百五十万トンの砂糖不足が予想されているからだ。
 多くのアルコール精製業者が砂糖生産へ転向した。そのためアルコールの供給が、八・九月に急減し、価格調整が行われる。金融危機は価格暴落と流通量枯渇、不況風の三重苦をもたらしたが、もう少しの辛抱だ。
 エタノール・サミットに講師として招かれたクリントン元米大統領は「アルコールは個人や企業、国家が地球温暖化防止のために取り組むべき問題」と励ました。これをなおざりにすると地球の温度は二一〇〇年、九度C上昇し、一億人が住宅を失うと訴えた。
 カリフォルニア州政府が温暖化対策でエタノール輸入を決めた後、全米的傾向になってきたが、アルコールの輸入税が温暖化対策の障害だと批判。同前大統領は現在、持続可能な環境対策団体を運営している。
 「金融危機は、人類が運命共同体であることを世界の人々に教えた」と元大統領はいう。人類が一蓮托生であるなら、地球温暖化の災いは全員が同じように被ることになる。