知事は補償を約束するが=ピアウイ州のダム決壊で=検察は過失致死含め捜査へ
ニッケイ新聞 2009年6月3日付け
ピアウイ州北部コカウ・ダ・エスタソンで五月二十七日夜起きたアルゴドインス1ダム決壊事故で、検察局が過失致死も含めた人災にあたる可能性があるとして本格捜査を開始と二日付エスタード紙が報じた。
事故については伯字紙でも二十九日以降連日報道されているが、同ダムはこれまでにも亀裂、修理を繰り返しており、最後の修復工事契約は、〇八年八月に建設会社Emgerpiと結ばれた。
同社は五月初めに、修復工事はほぼ完了として州政府に引渡したが、仕上げ段階での増水でダム決壊の可能性がありと警告。下流域住民は五月十三日に避難している。
この時も、住民の中には警告に疑問を呈し避難命令に従わない人もいた様だが、問題なのは二十一日に開かれた集会だ。
わずか二五分の同集会では、ダム決壊の危険は無いとの技術者の言葉で住民の自宅帰還が認められたが、Emgerpi社長は、州知事からの帰還を認めろとの命令に従ったと発言。同技術者も三十日に、彼自身は「川の近くに住んでいる人はまだ戻らないよう要請したことが、二十一日の集会の議事録にも書かれており、自分に責任があるかのような批判は不当だ」と抗議している。
一方、州知事は三十一日に「決壊前四八時間の降水量は一四九ミリで、事故は不可避だった」と弁明。ピランジ川上流のセアラ州内ダムの放水があったことも影響したとも釈明した。
同知事は被災者への補償については近日中に決定して動き出すとも約束したが、死者八人、倒壊家屋七七〇軒、被災家族一〇五〇世帯などの公式発表に、全財産を失った被害者も多く、死者や行方不明者はもっと多いはずとの声も出ている。
近所の人が二人の子供の無事救出を祝う日に、家族三人を失い、二人は行方不明という状態で泣き暮したマリア・ド・ソコーロさんの元に、下流の町で保護された息子がヘリコプターで送られるなどの朗報もある一方、孤立状態で食糧確保も困難な地域も残っている。
心の傷や生活対策と共に、全国で二〇〇はあるという決壊の可能性のあるダム流域での防災対策まで、国を挙げての幅広い対処も待たれている。