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ブラジルGMの将来は=兵站部を断たれた前線将兵

ニッケイ新聞 2009年6月3日付け

 米国資本主義のシンボルGMが破産申請をすることで、ブラジルGMは国際市場でのシェア縮小を余儀なくされると予想される。ブラジルGMの未来には、不測の事態が数多くあると五月三十一日付けヴァロール紙が報じた。
 例えばオペルの売却は、見えない損失が大きい。ブラジルGMが生んだ新車はセルタなどごく僅かで、ブラジルで走るGM車の大部分がオペルで設計されていた。それが今度なくなる。
 ブラジルなどの南米GMはドル箱であるばかりでなく、全GMの活力供給源であった。それは、米国GMがあってのブラジルGMであった。しかし、ブラジルGMが背負う課題は、あまりに重い。
 新車開発は、GM技術の集大成だ。オペルがなくなることでブラジルGMは、中国GMや韓国GMに小型車のノウハウを仰がねばならない。エンジンの性能も独自開発を行い、性能抜群の日本車と競わねばならない。
 ブラジルGMの場合、国内市場だけなら技術の蓄積があるから現状は維持できる見込み。しかし、GM販売代理店が、孤児となったブラジルGMと生死を共にするかは疑問だ。尾羽を打ち枯らしたGMの印象は、拭えない。
 ブラジルGMの市場シェアは、全盛時代の二〇〇四年で二四%、二年後二〇%に落ち、現在は一八%へ後退。そこへ本社の没落が、マイナス要因として圧し掛かる。熾烈な競争を極める自動車業界で、GM車には時代感覚のズレがあった。
 自動車用エンジンの技術革新では、莫大な資金の投入を要する。ブラジルGMは、社会開発銀行(BNDES)に融資を求めたが、資金供与は遅れた。ブラジルGMはラテン・アメリカや中東、アフリカも担当区域に入るが、市場維持にはブラジルGMだけの資金力では投資に事欠き、折角のドル箱は生かされなかった。
 いくらブラジルGM社長が、本社の破産はブラジルGMに影響がないと口を酸っぱくしていっても、GM車は欠陥車に見られる。破産企業の社員は社長以下全員、敗軍の将のようだ。