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金融は危機前水準に=明るい見通しと暗い足元

ニッケイ新聞 2009年6月4日付け

 サンパウロ市証券取引所(BM&F・Bovespa)は二日、外国人投資家の本格参入が始まり、五月の投資額が過去最高の六十億八千三百万レアルに達したと発表したことを三日付けエスタード紙が報じた。
 これまでの最高は、金融危機以前の昨年四月における六十億七百万レアルであった。これで〇九年の外国人投資は、累計で百十二億レアルとなり、ボヴェスパ株上昇の四三・八一%を支えるので欧米の金融市場より有望と見なされている。
 投資家の間では、ボヴェスパが格好の釣り場となった。同時に金融市場へ流通量の増加を促し、国内経済の活性化に貢献していることが伺える。その他、中央銀行が大手銀の監査に目を光らせ、リスク管理が厳しくなったこともある。
 有事の米国債やドルへの逃避時代は終わった。それにブラジルがとって代わったわけではないが、他の先進国と比較していち早く立ち上がったことで頼りにされているのは事実のようだ。
 ブラジルの財政状態は堅牢。中銀の適切な通貨政策により、外貨準備高は殆ど手付かず。
 用心深い外資は当初、ブルーチップと呼ばれるペトロブラスやヴァーレの銘柄株に集中。それで両株は、五八・二九%と四一・五〇%も株価が上昇した。しかし、金融危機後の資金繰りに困っている優良企業のため新株や社債の発行が急がれている。
 「外資が押し寄せた今、企業は資金調達で波に乗るべきだ。この大量の外資は長期間ここに定着するのか、もう一カ月様子を見る必要がある」とボヴェスパのエデミル・ピント社長がいう。
 一方、来月から始まる下半期の力強い槌音が、産業界で聞こえる。ブラジルは、国際金融によって再発見されたのだ。但し、バブルの罠には注意が肝要。経済の見通しは明るいが、足元には不況の現実が横たわっているので読みは微妙だ。