キューバOAS加盟=排除決議を取り消し=民主化対話時代が始まる
ニッケイ新聞 2009年6月5日付け
米州機構(OAS)首脳会議は三日、四十七年間にわたったキューバに対するOAS排除決議を取り消すことを、米国からベネズエラも含めて加盟三十四カ国で合意したことを四日付けフォーリャ紙が報じた。
冷戦時代の一九六二年、社会主義国家を掲げたキューバをOASから排除した決議は、ベルリンの壁が崩壊して二十年後で無効となった。これでキューバのOAS復帰に道が開かれ、OAS憲章の容認要求は対話の段階に入った。
「キューバの改革は一朝一夕にできるものではないが、OASから時代遅れ国を除去することが重要」とジョゼ・M・インスルザOAS事務局長が宣言。ホンジュラスのサンペドロ・スーラで、OAS加盟国の外相全員が宣言書に署名した。
同宣言書には、二項での和解が盛られた。一は一九六二年の排除決議が時代遅れで、現時点では無意味であること。二はキューバの一党独裁制から民主制の導入。
米国は先週まで排除決議の却下に同意せず、先ずOAS加盟への対話を求めた。一方でベネズエラを中心とするグループは、弁明の機会を与えずキューバを一方的に排除したOASが、謝罪することを求めた。
キューバのOAS加盟は、二段階になる。一はブラジルを座長とする十一カ国が、民主主義と人道主義の精神を説明する。二は文書通告ではなく、融通性のある対話にキューバが参加する。
「良識あるセンスで物事を解決する。一九六二年決議は死んだが、OASは生きている。そこには恥も外聞もない」とアモリン外相がいう。シャノン米補佐官は「米キューバの出入国管理で、キューバ代表が交渉の席に就いたことは、対話が始まったことを意味する」と述べた。
米政府の対話外交が始まったことで、加盟各国は賛辞を述べた。ホルヘ・タイアナ亜外相は「一方的な威圧外交から多極外交への変換」を賞賛。アモリン外相も中南米に対する米政府のヴィジョン変更を歓迎。
しかし、中米諸国は二十世紀に行われた米国の内政干渉に恨みが晴れていないようだ。「ヒラリー米国務相の誠意は認めるが、キューバへの経済制裁解除がないと米国の正義は空論だ」とベネズエラのニコラス・マドゥーロ外相は述べた。