ニッケイ新聞 2009年6月9日付け
サンパウロ市証券市場(ボベスパ)の株式時価総額が今年だけで四二・〇五%も上昇しており、「実体経済に見合わない活況であり、金融バブルの可能性がある」と警告している金融情報会社があることを八日付けエスタード紙が報じた。
同市場は五日、株式時価総額が一兆七千億レアルに回復し、昨年九月に起きた金融危機以前、同八月末の状態にほぼ戻った。特に今年四月からの上昇傾向が顕著であり、それ以前には一兆三千億レアルだったことを考えれば、短期間でこれほど値上がりしたことを一部の市場関係者は奇異と見ている。
急激な値動きの原因は、コモディティ国際相場の回復にあるようだ。大豆や小麦、綿、砂糖が、一斉に値上がりした。原油は、二カ月で五〇%値上がり。ブラジル上場企業の六〇%は、コモディティと関係しているからだ。
この値動きは、ブラジルにとって順風だ。それに中国の経済成長も相乗効果がある。世界経済が閉塞状態の中、ブラジルと中国に投資家は希望を見出そうとしている。
証券市場の急激な動きは、ドル売りにも拍車をかけた。ドルが下がるほど、コモディティは上がる。企業はまだ在庫を抱えているので、コモディティの上がり方は、異常だ、とウエストLB銀行が警告。
BRZ投資会社のマルコス・ファルコン氏は「これほど急激な回復は誰も予想していなかった」と驚く。投資家は、企業の破綻リスクが去ったと見て宝探しに夢中で奔走しているようだ。
実体の伴わない鰻のぼりの狂乱相場が、いつまで続くかが関係者の懸念。多くの投資家が、高い買物をしている可能性が指摘されている。
第2四半期は経済がやや持ち直しているが、緩慢だ。電気電子や工作機械は後退している。国内市場が本当によくなるのは第4四半期、それまでに経済の乱高下があるとウエストLBがいう。
FGV(ジェットゥリオ・バルガス)財団のエルネスト・ロザルド教授は「最近の外資流入には根拠がない」という。第1四半期のGDP(国内総生産)が近日、発表される。それが政策金利に影響を及ぼし、結果次第では外資の流れが変わると述べた。