ニッケイ新聞 2009年6月9日付け
国際決済銀行(BIS)は七日、ブラジルの民間企業が金融危機のために金融派生取引で二百五十億ドルの欠損を出した可能性があると発表したことを八日付けエスタード紙が報じた。
BISの三カ月毎の報告書によれば、ブラジルには金融派生取引を管理する基準が存在しないという。だから恐慌の衝撃が、ブラジルに新たな弱点を露見させる可能性があると警告した。
先進国は恐慌を体験済みで、その処し方も心得ているとBISはいう。しかし、ブラジルなどラテン・アメリカ諸国は、恐慌の処し方を知らないから、泳ぎながら学ぶ必要があると訓告。
ルーラ大統領は、金融派生取引に臨んだ企業家を、ブラジルに不況をもたらした「酔っ払い」と呼んだ。金融派生取引市場は〇八年下半期、五百九十二兆ドルの損害を全世界へもたらしている。
BISは、ブラジルに対し、企業家を酔っ払いと呼ぶ代わりに、チリやコロンビアのように同取引の損害回避基準を設定すべきだと忠告した。政府当局者は金融派生取引の損害が、国内経済を蝕む不況のタネをはらんでいることを学ぶべきだとBISが諌めた。