ニッケイ新聞 2009年6月10日付け
伯イスラエル商工会議所のジャイメ・ブライ会頭は八日、イスラエルとメルコスルが二十二カ月にわたる八回の連絡会議を経て自由貿易協定を締結するに至り、イスラエルは南米への足場を得たので、積極的かつ革新的な交流強化を図ると表明したことを九日付けフォーリャ紙が報じた。
メルコスルは、イスラエル向けに牛肉を主に農産物を輸出。イスラエルは、メルコスルに農薬やソフトウエア、最先端技術などを供給する。
自由貿易協定は、十年計画でメルコスル輸出品の九五%を、イスラエル輸出品の九七%をゼロ関税にする。
殊に金融危機は、世界各国に補完関係の緊密化を促進させたと同会頭が述べた。メルコスルとイスラエル双方は、産業の基礎となる必需品を有し、通商と技術で補完関係にあるという。
メルコスル加盟国に農業技術やバイテク、ナノテク、IT、通信などで、イスラエルと関係強化を図ることを勧める。特にイスラエルは、ダイアモンド以外の新素材開発が進んでおり、輸出品の五〇%を占める。
イスラエルは肥料や電子部品、医療機器など広範囲の輸出品目を持つ。一方、ブラジルは、コモディティ立国。メルコスル輸出の八〇%はブラジル産品で占め、メルコスルの牽引車になる。
カサビサンパウロ市長は、イスラエルで開催された第四回国際水会議に出席。飲料水の重要性を認識。水質が三十年後、人類の健康に影響を及ぼすことに同市長も同意した。飲料水技術でイスラエルは、ブラジルに提供できるものがあるという。
ブラジルとの貿易額は現在、二十億ドルに留まっている。イスラエルは五百億ドルを輸入する用意があり、対メルコスルでは二千四百億ドルに伸ばすことも可能。
ブラジル議会はいま、従来の通商領域から卓見した経済領域への進出を検討中だ。これまでのメルコスルという枠を取り払い、イスラエルのような外交と文化を超えた領域へ、大きく広がることが予想される。
それは、政治においても同じ。国連が一九四八年、イスラエル建国を宣言したときの国連総会議長は、ブラジル人のオズワルド・アラーニャ氏であった。ブラジルはこれからも、偉大な政治家を輩出する国だと同会頭が述懐した。