ニッケイ新聞 2009年6月11日付け
五月初めから職員ストが続き、一日に構内の軍警駐留も始まったサンパウロ総合大学(USP)で九日、軍警と学生、職員らの衝突が起きた。
十日付伯字紙や、九、十日付G1サイトなどによると、九日の混乱は、軍警退去などを求める職員や学生の抗議行動終了間際、本部棟に向かおうとした一部学生や職員が数人の軍警を取り囲んだ事から生じたようだ。
二〇〇レアルと一六%の給与調整を求める職員ストは、五月二十五日の交渉決裂、ピケ、一部学生の本部棟乱入、軍警駐留という展開を見せた後、軍警退去や交渉再開要求へと続いていた。五日からは、軍警退去と通信制廃止を求める教員や学生もスト決行中だ。
職員や学生の集会前に起きた抗議行動は、カンピーナス大学やサンパウロ州立大学職員や学生も参加。一五時の正門封鎖以外、通行人や軍警に花を投げたりと平和的な雰囲気だったのに、一七時頃に一部職員や学生が予定外の行動をとった。
約二〇〇〇人の抗議行動終了直前、車の進入阻止用のパイロン(道路や工事現場の区分けに使う円錐形の規制物)を手にした学生が軍警への返却を拒否して急に緊張が高まった。「出て行け」と叫ぶ約二〇〇人の行動隊に囲まれた軍警は応援要請。現場到着の応援部隊は、車両から降りると共に催涙ガスやゴム弾などを使い始めたという。
軍警の行動に、学生や職員は投石などで抵抗しながら本部棟方面へ。本部棟前では教員集会が持たれていたが、一部教員が軍警との対話を試みても、ガス弾などを浴びせられ不成立。職員達も同様の証言をしている。
一方、軍警側は学生達が挑発したと返答。軍政下の学生運動弾圧以来初の構内での軍警との抗争は、一部の職員、学生の行動が引き金だが、事の次第を知りながら身を隠している学長等との緊張の高まりも背景にある。
職員のピケで自由に移動出来ない上、本部棟侵入で治安が妨げられたとする学長の要請で始まった軍警駐留。いつか衝突が起こるとの教員等の心配が的中した事件直後に集会を開いた学生や職員は、十日の集会後、横断幕を持ちパウリスタ大通りに出向いたが、ピケを解けば対話にも応じ、軍警も撤去という学長の態度では、職員らの同意は得られそうもない。