ニッケイ新聞 2009年6月13日付け
コロニア随一の歌の祭典「日本人の心の歌」チャリティー・ショー(同実行委員会、ニッケイ新聞社共催)が八月十六日午前十時からブラジル日本文化福祉協会大講堂で開催される。例年一つのテーマに沿って行なわれる同チャリティー。今年は趣向を変えて「日本全国ご当地名曲特別ショー」と称し、各都道府県に伝わる名曲や民謡などが選ばれた。もっともリクエストが多かったのは、岩手県のご当地ソング「北国の春」。当日は午後五時まで、コロニア歌手五十八人が熱唱を繰り広げる。
「日本人の心の歌実行委員会」委員長の道康二さん(71、東京)と夫人のみどりさん(二世)、阿部洋子さん(二世)、西谷明美エジナさん(二世)、井川悦子ルシアさん(二世)、前田マリ子さん(二世)らが十二日、案内に本紙を訪れた。
九回目の開催となる今年のショーには、四歳から八十三歳までの歌手計五十八人が出場する。同チャリティー・ショー開催にあたり、ニッケイ新聞の読者からご当地ソングへのリクエストを受け付けたところ、一位の「北国の春」に続いて多かったのは『東京だよおっ母さん』(東京)。三番目は『ひばりの佐渡情話』(新潟)だった。
このほか、昨年のNHK連続テレビ小説「だんだん」で使用された『いのちの歌』(島根)など新しい歌も選ばれた。
八三年の「おしん」で使用された『おしんの子守唄』(山形)も選ばれた。国武千恵美さんが練習した時、歌詞の中の「かあちゃん、ばんちゃん」と叫ぶ箇所では泣いてしまい歌えなかったという。
このほか、ベテランの羽田宗義さんが『高校三年生』、また、辛くも戦争で生き残った人が港に帰ってくる情景を歌った『帰り船』を堀見憲生さんが歌う。また、コロニア歌手の草分け阿部洋子さんが、ブラジルを代表するサンバ作曲家アドニラン・バルボーザの「trem das onze(十一時の夜汽車)」を熱唱する。
歌だけでなく、衣装にも凝った演出が人気の同ショー。以前には兵隊の格好をした歌手が登場したこともある。今年も全ての歌紹介にナレーションがつく。内容は道さんが考えたものだ。昔は歌に関する本を日本から送ってもらい、調べて作成したという。
昼食時には日本舞踊の花柳流金龍会(花柳金龍会主)や輝千代会(池本輝千代会主)、響兄弟の姉で日本舞踊の花柳寿美富浩さんが指導する子供六人などが出演する。
楽団には、ザ・フレンズ楽団(蛯原忠男団長)を迎える。最後に、歌手全員で『川の流れのように』を歌う。
道実行委員長は「今年は自分の故郷に興味を持ってもらえると思い、ご当地ソングにしました。今までと違ったショーをぜひ見に来てください」と呼びかけた。
ショーの中ではテレビやDVDプレーヤーなど、多数の賞品が当たる抽選会も行われる。ショーの売上げは福祉団体に寄付される。
協力券は一枚十五レアルで、ブラジル日本文化福祉協会、老人クラブ連合会、サンパウロ日伯援護協会、沖縄県人会、明石屋宝石店、ニッケイ新聞社で取り扱っている。