ニッケイ新聞 2009年6月13日付け
あの笠戸丸がサントス港14番埠頭に着岸したときに上塚周平は好きな俳句を詠む。その一句に「ブラジルの初夜なる焚火祭りかな」があり、移民が詠んだ最初の句とされる。瓢骨の号をもつ上塚周平がカトリックだったのかどうか?この「焚火祭り」は24日のサンジョアン祭などの大焚火であり、奥ソロのピラポジンニョでは40―50メートルも焚き上げる▼移民らは「六月祭」と呼ぶが、土、日曜日にもなると、サンパウロでもカイピーラ風に着飾った子どもたちをよく見かける。これからフェスタに向かうのだろう。とても楽しそうに笑いながら飛び跳ねたりし歩を進める。とにもかくにも祭りが次々にあり、寒い夜空に身が震えるときのケントンの美味さと焚火は素晴らしい。そういえばアマゾン・パリンチンスのボーイ・ブンバー(牛踊)も確か6月である▼ジュニナ祭の名物にはバロン(気球)も。折り紙に使うような紙に絵や図案を描き松脂を燃やして空中に飛ばすものであり、これはもう冬の風物詩である。最近は山火事の恐れもあるとかで当局が禁止しているようだが、夜空に浮かぶ大きなバロンの煌きはなんとも美しい。街雀によれば、直径15メートルとか20メートルとかの巨大なものも飛ばすそうである▼先の11日は「聖体祭」で町々の窓には切花や綺麗な織物が飾られ聖体行列で進む神父らを迎える。行進の通路いっぱいに花が敷かれた「花絨毯」はただただ凄いに尽きる。サンパウロ近郊ではサ・デ・パラナイバやイツなどが500メートルもの路を花で飾って神父らの行進を華やかに迎えカトリックの大祭日は燃えに燃えた。 (遯)