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■ひとマチ点描■不況に負けずに布教=米国に帰化したブラジル人牧師=静岡

ニッケイ新聞 2009年6月17日付け

 【静岡県発】「アメリカにいるブラジル人の90%は不法滞在。いつもプレッシャーを感じながら生活しているが、一日の仕事量は決まっていて、生活を楽しんでいる。日本にいるブラジル人は合法でも仕事、残業というプレッシャーを感じ、家族や友人と過ごす大切な時間をもてないでいる」
 リオ生まれの〃元ブラジル人〃。11歳でアメリカ・ニュージャージー州に家族で移り住み、牧師に。米国籍に帰化し、同じく牧師のアンドレアさん(ミナス州ベロ・オリゾンテ市出身)と知り合い、結婚。1年2カ月前、妻と3人の娘らとともに、3年間の宗教ビザで来日した。
 9歳の娘を公立学校に入れた。英語、ポルトガル語を理解する娘にとって、さらに「日本文化と日本語を学ぶよいチャンス」と前向きに捉える。
 在日ブラジル人コミュニティーの展望については「残念ながらまだ日本社会からの偏見と差別がある。今後10年の短い期間では在日ブラジル人が日本社会に溶け込むのは難しい」と分析。「でも私たちの子どもの世代が大きくなれば」と期待を託す。
 日本への永住は「デウス次第」とピニェイロ神父。アメリカと日本の社会構造は、食事以外はほとんど似ていると言う。「昔はダメだったけど今は寿司が大好き」。初めての日本での生活にもすっかり馴染んだよう。
 在日ブラジル人だけでなく、日本社会にも聖書の教えを広めていくのが夢。バスケット、サッカー、ゴルフとスポーツ万能の33歳。菊川市在住。(池田泰久通信員)


写真=ピニェイロ牧師。左は妻のアンドレアさん