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JICAシニアの山田さん=移民の記録を編集・出版

ニッケイ新聞 2009年6月17日付け

 JICAシニアボランティアとしてモジ・ダス・クルーゼス日本語教育研究会で日本語教師養成講座などに従事している山田史子さん(66、神奈川)が七月一日の帰国を前に、日系移民の記録を収めた「移り来て、今 ブラジルの空の下」を刊行した。
 JICA青年ボランティアや同研究会の先生らが編集の協力にあたり、十一日に同研究会から発行された。
 出版の案内のため本紙を訪れた山田さんは、「ブラジルでの経験を形にしたく、本にしました。移民の歴史を後世に残し伝えたい。二年間の集大成です」と語った。
 記念誌は四部構成の約三百ページ。第一部「個人史」は個人の移住体験談を、第二部「特別編」では先駆者のドキュメンタリーや航海日記を紹介している。
 第三部「式典編」は日系団体式典で行われた挨拶を掲載。第四部「インタビュー編」では各移住地当時の様子を聞き収録した。読み易いよう、全ての漢字にひらがなで読み方がふられた。
 山田さんはJICAの仕事の傍ら、平日の夜や週末を使ってインタビュー、編集作業を行った。中には諸事情から、あからさまに思いを書けない人もいたという。
 ふりがな付きなので、教材としても使用できる。日系人の子供たちにも読んで歴史を知って欲しいという。
 山田さんは日本では小学校教諭をしていたが、当時、偶然出会ったJICAシニアボランティアOBが話すブラジルに興味をもち、自費で渡伯。二週間の滞在で図書館の整理などを行った。帰国後、在職しながら日本語教師の資格取得し、週末に外国人に日本語を教えるなどしてテクニックを学んだ。
 定年を前に退職、JICAシニアボランティアに応募し、パラグアイで二年余り日本語教育の指導にあたった。その後、ベトナムで十カ月間、学生たちに日本語を教えた。〇七年再びJICAシニアボランティアとしてブラジルに赴任、日本語教育の指導を行ってきた。
 山田さんは「まずは語ってくれた移民の人に読んで欲しい」と話し、「その人の生活振りが分かることから、親族など身近な人にも」と語った。
 同書は二百部発行し、ブラジル日本語センター(電話=11・5579・6513)又は、モジ・ダス・クルーゼス文化協会(4791・2022)で販売。教師には五十レアル、一般には定価六十レで販売する。