ニッケイ新聞 2009年6月17日付け
二〇〇七年度パラナ州日本語弁論大会で友人の応援に駆けつけた時のこと。今でもある少女のスピーチが忘れられない。
初めて日本の親戚を訪ねた彼女の家族に対し、その親戚は「ブラジル人には会いたくない」と面会を拒んだという。
彼女は「五世が誕生する今の時代まで私たちはブラジルでがんばってきた、それを認めてほしい。どうか私たち日系人を差別しないで」と訴えた。
身内に〃外国人〃扱いされるのはどんなに酷なことか。彼女が言うように、ルーツを共有する者同士で差別があったなら悲しい。
それは、日本の人に向けられた言葉だった。本当は、彼女の声を直接に聞いてもらいたい。
移民の思い、日系人の苦労を知らないことが、心ない行動の一因ではないかと思う。日本に向け、日系人のブラジルでの活躍を伝えていかなければと強く感じる。
(裕)