交通事故死は世界5位=1日からは交通法厳正化=取締り継続が効果決める?
ニッケイ新聞 2009年6月18日付け
世界保健機構(WHO)が発表した〇七年の交通事故統計によると、ブラジルは世界第五位の交通事故死国と十七日付エスタード紙が報じた。
同年のブラジルの交通事故死者数は三万五一〇〇人で、インド一〇万五七〇〇人、中国九万六六〇〇人、米国四万二六〇〇人、ロシア三万五九〇〇人に次ぐ。ただし、一〇万人当たりの死亡率は一八で、ロシアの二五と米国の一三の間。全体でも中間に位置するという。
WHOによれば、世界中の交通事故死者は年間一二〇万人で、死亡原因の第一〇位。四六%は歩行者や自転車、バイクの利用者で、アジアではこの割合が八〇%に上る。
事故での死亡率は、所得向上で車所有者が増えても道路や法の整備が追いつかない、地中海東部やアフリカの新興国や貧困国程高く、世界の車の半分以上を所有する先進国の死者は一〇%程だ。
報告では、一七八カ国中、道路交通法が整備されているのは一五%のみとあるが、法が整備されている国でも、遵守されているかは別だという。
その意味で衿を正さねばならないブラジルでは、七月一日から道路交通法が厳しくなり、重大な事故が起きた場合の当事者らに免許停止や再検査の義務化と十六日付エスタード紙が報じている。
今回の改正法では、加害者だけでなく、同乗者や被害者にも心理テストなどを義務付けられる可能性があるという。
重大な事故の定義も不十分なため、改正法施行後も交通局担当者の判断に委ねられる部分が大きくなりそうだが、加害者には筆記試験、実技、身体検査、心理テストが義務化され、同乗者や被害者も事例毎に対象となる試験内容が決められる。
ここで気になるのが法の遵守。二十日に施行一年を迎えるレイ・セッカ(飲酒運転禁止法)は、厳格化した法による規制効果を測る好材料だ。
十六日付エスタード紙によれば、サンパウロ州では〇八年七月から今年四月までの事故死者が六・九%、負傷者も二三・二%減少しているが、十四日付同紙にもあるように、取締りが緩み、飲酒後に運転する人が増えてきたのは要注意。教育などの啓蒙活動や取締り継続などにより、交通事故大国の汚名は返上したいものだ。