米誌論評=BRICsは同床異夢か=新基軸通貨は基礎条件欠落
ニッケイ新聞 2009年6月19日付け
米誌ForeignPolicy七月号が、BRICs首脳会議を同床異夢会議と位置付けたことを十八日付けエスタード紙が報じた。ゴールドマン・サックスのジム・オニール氏がBRICsの将来に期待したのはよいが、極端に事情が異なる国々が一堂に会するのは、意義のあることなのかと、以下のような疑問を呈した。
オバマ米大統領の訪ロとG8サミット直前の同首脳会議設定は、時期的に不都合ではないか。BRICs諸国は、世界の政治経済を日米欧に任せられないとする声明を発表するなど、BRICsが立ち上がるときだと判断したと見ている。
ゴールドマン・サックスは金融危機後、BRICsを新しい柱として育てる考えであったようだ。しかし、ロシアの不況は深刻だ。エネルギー輸出で経済の立て直しを図っているが、BRICsについていけるか。
BRICs諸国の財政は、債務も債権もドル換算をするため、米財政の過重債務とドル通貨の下落を恐れている。BRICsはそれを、G20やIMF(国際通貨基金)、世銀、WTO(世界貿易機関)などへ訴えるつもりのようだが、その効果は疑問だ。
同首脳会議では露呈しなかったが、参加した四カ国の間には共通の政見がない。基軸通貨では、外貨準備をドル通貨以外で保管という意見があったが、ルーブルも人民元も短期間で基軸通貨となるには程遠い。
流通量に至っては、ドルに比較してゼロに等しい。ブラジルと中国、ロシアがIMFへ財政支援を行ったが、将来も引続き支援をするのかについては言葉を濁した。
最も致命的なのは、四カ国が異質であること。ロシアは、米政府を牽制するためBRICsを利用するだけ。胡錦濤主席の頭には、経済発展と国内情勢の安定しかない。ブラジルとインドは、オバマへの接近。
ルーラ大統領とシン首相は、経済成長と金融危機を原因とする社会不安の阻止がBRICsに望む期待といえそうだ。同首脳会議が原因で起きる問題など眼中にない。