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軍政失踪者の再審査=検察庁が軍へ書類提出要請

ニッケイ新聞 2009年6月23日付け

 「遺体のない拉致事件は捜査続行中である」とアントニオ・F・ソウザ検事総長が表明し、検察庁が国防省に軍政時代に失踪した政治犯に関する書類の提出を正式に求めたと二十二日付けフォーリャ紙が報じた。
 書類は、政治犯の取締り本部であったサンパウロ市DOI―Codiに保管されていたものだ。司法官の見方では、軍政時代に行方不明となった政治犯は、時効のない事件として扱われる。同件は遺体発見がないため何も事実の解明がなく、遺族補償もない。当件は保留中であり、特赦法の対象にならないとされる。
 亜最高裁が同国の政治犯拉致に加担したウルグアイ人ピアセンチーニ士官に対する判決で、同件は遺体発見がないため現在も控訴中であるとして同人の身柄引渡し永久要求に倣ったもの。同士官は現在も、ウルグアイに服役中。同件は遺体発見まで保留中であり、身柄引渡しまでは終身刑のようなものという。
 ソウザ検事総長と検事二人は、陸軍検察課に一九七一年から一九七六年に失踪した政治犯二十五人の再審理を求めた。同政治犯拉致の執行責任者は、カルロス・B・ウストラ士官とアウジル・S・マシエル士官の二人であると告発した。
 陸軍検察課はDOI―Codiに関する書類を提出したが、二十日まで検察庁の返答がないという。提出書類は公文書であり、明白な証拠となるものや作戦に関する金品の享受記録はない。
 軍政時代の政治犯拉致は、単なる拉致犯罪となる可能性もある。検察庁は、亜最高裁によるピアセンチーニ事件の最終判決を待っている。それによって軍政時代の政治犯失踪の再審理を、刑事裁判へ付すか決める。
 特赦法は、一九七九年八月十五日までに犯した犯罪に適用される。軍の強制連行による拉致犯罪は、事実確認のないことなので法の期日で適用可否を決められない。
 失踪者の遺族は、存命中に審理の結果と補償について知りたいと願っている。遺体がないということは、拷問によって記憶喪失や廃人となって、どこかを彷徨しているのかも知れないという。