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債務不履行が5.5%へ=ここ10年で最悪=景況回復で楽観説も=所得減で個人滞納8.6%

ニッケイ新聞 2009年6月27日付け

 中央銀行は二十五日、景況が持ち直しつつあるのに債務不履行が昨年九月の金融危機以来、留まることなく増え続け五月現在、三カ月以上の滞納が五・五%に達したことを発表と二十六日付けエスタード紙が報じた。これは二〇〇〇年九月以来の最高水準。これで企業や消費者の滞納債務が、金額にして三百七十億レアルとなった。個人の滞納債務では、八・六%と深刻。最近は底上げや不況脱出などの明るいニュースが飛びかう中、クレジット市場は今が正念場のようだ。

 リーマン・ブラザースの破綻に始まる本格的なしわ寄せが今、ブラジルの信用市場に押し寄せたようだ。この時間差は、ブラジル産業界や消費者所得がこれまで耐え忍んだ抵抗力を示す。
 昨年九月から売上げは落ちていた。その落ち込みを大量解雇で調整し、体力を維持していた企業に対し、銀行が金融引き締めを行い、クレジットを制限。この影響を受けた企業が、三カ月以上の債務滞納を引起こした。
 車両販売の債務不履行は五月、五・二%から過去最高の五・四%へ増えた。特別小切手不渡りは一〇%から一〇・八%と過去最悪となった。
 消費者も収入減のあおりを受け、一般家庭の年収総額におけるローンなどの負債額の割合は三五%(〇八年は三二%、〇七年は二七%)にも達しているとの中銀報告も同日付けG1サイトなどが報じた。
 企業が三カ月以上債務決済を滞納したのは、二〇〇一年四月の二・九%から五月で過去最高の三・二%。これは過去数カ月、資金繰りに苦労したことを示す。
 それでも中銀経済課のアウタミール・ロッペス課長は、中銀がクレジットの注入努力をしているので間もなく好転という。債務不履行は、暫時減少と見ている。
 クレジット残高のグラフを見ると、回復の感触がある。個人のクレジットは前月比〇・八%増、一方企業のそれは、前月比〇・八%減。このクレジット減少は、ドル建て債務がレアル高で有利に決済できたからだ。
 銀行は五月末、一兆二千五百九十億レアルを貸し付けていた。この金額は、GDP(国内総生産)の四三%に当る。この金額は〇九年末、四五%に達する見込みだ。これはクレジットが生産に先行し、景況の回復を意味している。